ビタミンって、体に良いって聞くけど、実際どんな働きをしてるの?
「不足すると病気になっちゃうんでしょ?」くらいの認識の方も多いのではないでしょうか?
実は、ビタミンは、私たちの体の中で、想像以上に大活躍してくれているんです!
しかも近年、生活習慣病の予防や改善に繋がる、ビタミンの新たな可能性が次々と明らかになってきているんですよ!
そこで今回は、東北大学の研究チームによる論文を参考に、注目のビタミンパワーをご紹介!
健康長寿を叶えるヒントが、きっと見つかるはずです!
そもそもビタミンって?
ビタミンは、私たちが健康な体を維持するために欠かせない栄養素です。
炭水化物や脂質、タンパク質のようにエネルギー源にはなりませんが、それらの栄養素の働きをサポートしたり、体の機能を調整したりと、縁の下の力持ち的な役割を担っています。
不足すると、疲れやすくなったり、肌荒れが起きやすくなったり、免疫力が低下したりと、様々な不調が現れてしまいます。深刻な場合には、病気につながることも…
ビタミンは全部で13種類あり、水溶性ビタミンと脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミン
水に溶けやすい性質を持つビタミンで、主に代謝に関与しています。 余分な量は尿として排出されるため、こまめな摂取が必要です。
(ビタミンB群、ビタミンCなど)
脂溶性ビタミン
油に溶けやすい性質を持つビタミンで、主に体の機能を調整する働きがあります。 体に蓄積されやすい性質を持つため、過剰摂取には注意が必要です。
(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)
注目のビタミンたちをご紹介!
東北大学の研究チームは、ビタミンB3、ビオチン、ビタミンKの3つに注目し、生活習慣病予防における新たな可能性を研究しました。
一体どんなパワーを秘めているのでしょうか?
ビタミンB3(ナイアシン):脂肪燃焼を助ける司令塔!?
ビタミンB3は、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与し、エネルギー産生をサポートする栄養素です。
不足すると、皮膚炎、下痢、認知症などを引き起こすペラグラという病気にかかってしまいます。
ビタミンB3のスゴイパワー
脂肪の燃焼を促進!
脂肪細胞内のcAMPという物質の産生を抑え、ホルモン感受性リパーゼという酵素の働きを抑制することで、脂肪の分解を抑制します。
脂肪の蓄積を抑制!
肝臓での脂肪の合成と脂肪酸の吸収を抑制します。
ミトコンドリアを増やす!
ミトコンドリアは、細胞の中でエネルギーを作り出す工場のような器官です。ビタミンB3は、ミトコンドリアのサイズと数を増加させ、褐色脂肪組織の熱産生を促します。
腸内環境を整える!
腸内にあるGPR109Aという受容体を活性化することで、食事からの脂肪の吸収を抑制します。
悪玉コレステロールを減らす!
善玉コレステロール(HDL)を増やし、悪玉コレステロール(ApoB48)を減らすことで、脂質代謝を改善します。
炎症を抑える!
マクロファージを抗炎症作用を持つM2マクロファージへと変化させ、炎症を引き起こす物質であるサイトカインの産生を減少させます。
がん細胞の増殖を抑える!?
脳腫瘍の増殖を抑制することが示唆されています。
COVID-19の重症化リスクを減らす可能性も!?
バイオインフォマティクス解析の結果、ビタミンB3は、COVID-19と大腸がんを併発した患者の予後に役立つ可能性が示唆されています。
筋肉を増強!
NAD1という、エネルギー産生や細胞の修復に重要な役割を果たす物質のレベルを向上させることで、筋肉の質を高め、筋力アップをサポートします。
腎臓を守る!
NAD1の前駆体であるニコチンアミドは、全身性炎症や虚血によって引き起こされる重度の代謝ストレスによる急性腎障害の発生率を減らすことができます。
なんと、ビタミンB3は、脂肪代謝、炎症、免疫、そしてがんやCOVID-19との関連性まで、幅広い分野で注目されているんですね!
ビオチン:血糖値や血圧をコントロールする万能選手!?
ビオチンは、皮膚や粘膜の健康を維持する働きや、糖質、脂質、タンパク質の代謝に関与する栄養素です。 不足すると、皮膚炎、脱毛、食欲不振、うつ症状などが現れることがあります。
ビオチンのスゴイパワー
高血圧を改善!
血管をリラックスさせるcGMPという物質を増やし、血管を拡張することで、血圧を下げる効果が期待できます。
糖尿病を予防・改善!
血糖値を下げるインスリンの分泌を促進したり、肝臓での糖新生を抑制したりすることで、血糖値の上昇を抑えます。また、インスリン抵抗性を改善する効果も期待できます。
肥満を改善!
肝臓での脂肪酸合成を抑制し、脂肪酸の酸化を促進することで、脂肪の蓄積を抑えます。
食欲を抑える!
視床下部にあるACC-2という酵素の遺伝子発現を増加させることで、食欲を抑え、体重増加を抑制する効果も期待できます。
ビオチンは、高血圧、糖尿病、肥満といった、まさに現代人にとって関心の高い生活習慣病の予防・改善に効果が期待できる、まさに万能選手!
ビタミンK:骨だけじゃない!?多彩な才能を発揮!
ビタミンKは、血液を凝固させる働きや、骨の形成を助ける働きで知られています。 不足すると、出血しやすくなったり、骨がもろくなったりする可能性があります。
ビタミンKのスゴイパワー
骨の形成を促進!
骨を作る細胞である骨芽細胞に作用し、骨の形成に必要なタンパク質を増やすことで、骨密度を高める効果が期待できます。
胆汁酸の代謝を調整!
肝臓での胆汁酸合成に関与する遺伝子の発現を調節することで、胆汁酸の代謝を正常に保ちます。
炎症を抑える!
炎症を引き起こすNF-κBというタンパク質の働きを抑制することで、炎症を抑える効果が期待できます。
がん細胞の増殖を抑える!?
NF-κBの活性化を抑制することで、肝臓がん細胞の増殖を抑制する効果も期待できます。
神経細胞の成長を促進!
神経細胞の成長を促し、神経細胞同士のつながりを強化することで、認知機能の維持や向上に役立つ可能性があります。
テストステロンの産生を増加!
男性ホルモンであるテストステロンの産生を増加させることで、男性の健康維持に役立つ可能性があります。
インスリン分泌を促進!
膵臓β細胞からのインスリン分泌を促進することで、血糖値の上昇を抑えます。
ビタミンKは、骨の健康だけでなく、肝臓、脳、そして男性の健康にも関与している、まさに多才な栄養素なんですね!
ビタミンパワーで健康長寿を目指そう!
今回は、ビタミンB3、ビオチン、ビタミンKの3つのビタミンに焦点を当て、生活習慣病予防における新たな可能性についてご紹介しました。
もちろん、これらのビタミンだけを摂れば良いというわけではありません。
バランスの取れた食事を心がけ、自分に必要な栄養素をしっかりと摂ることが大切です。
日々の食事を見直し、不足しがちな栄養素はサプリメントで補うなど、自分に合った方法でビタミンを積極的に摂取していきましょう!
PMID:36437027
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