健康的な食生活、栄養バランス、と聞いて何を思い浮かべますか?
現代社会において、忙しい毎日を送る中で、食事から十分な栄養を摂取することは容易ではありません。そこで登場するのが強化食品や栄養補助食品(サプリメント)です。ビタミンやミネラルなどの栄養素を手軽に補給できる便利な味方として、世界中で利用が広がっています。
しかし、その一方で、過剰摂取による健康への悪影響も懸念されています。
では、実際に私たちは強化食品やサプリメントをどのように利用し、それが私たちの栄養摂取にどのような影響を与えているのでしょうか?
この度、東京大学を中心とする研究チームが、日本人成人392名を対象に、強化食品とサプリメントの利用実態とその栄養摂取への影響に関する興味深い研究結果を発表しました。
今回は、この研究結果について、皆さんにも分かりやすく、そして面白く解説していきます!
日本人の3人に1人が利用!強化食品とサプリメントの実態
今回の研究では、対象者のうち、なんと31%もの人が強化食品またはサプリメント、あるいはその両方を摂取していることが明らかになりました。
これは、10人に3人という割合であり、決して少なくない数字と言えるでしょう。
具体的には、強化食品の利用者は全体の10%、サプリメント利用者は24%という結果でした。
強化食品としては、牛乳、清涼飲料水、米などが、サプリメントとしては、ビタミンB群、グルコサミン/コンドロイチンなどが多く利用されていました。
意外な事実!?強化食品やサプリメントを摂取している人の食生活とは
興味深いことに、強化食品やサプリメントを摂取している人たちは、そうでない人たちと比べて、普段の食生活においても、食物繊維やビタミン、ミネラルの摂取量が多い傾向が見られました。
さらに、果物、魚介類、牛乳・乳製品の摂取量も多いという結果も出ています。
つまり、普段から栄養バランスを意識した食生活を送っている人ほど、強化食品やサプリメントを利用する傾向があると言えるかもしれません。
強化食品やサプリメントの効果は?
では、実際に強化食品やサプリメントを摂取することで、栄養摂取は改善されるのでしょうか?
この研究では、強化食品やサプリメントを摂取している人たちは、そうでない人たちと比べて、ビタミンA、ビタミンB6、チアミン、リボフラビン、カルシウム、亜鉛の6つの栄養素において、摂取不足の割合が低いことが分かりました。
さらに、強化食品やサプリメントによる栄養摂取を考慮すると、ビタミンC、マグネシウム、鉄の摂取不足も改善されることが示されました。
特に、チアミン、リボフラビン、ビタミンB6、ビタミンC、カルシウムについては、強化食品やサプリメントを摂取することで、摂取不足の割合が10%以上も減少するという結果が出ています。
過剰摂取のリスクは?
一方で、サプリメント利用者の中には、ビタミンB6の摂取量が、過剰摂取となる上限レベルを超えている人が2%いることも分かりました。
サプリメントは手軽に栄養を補給できる反面、過剰摂取のリスクも伴うことを忘れてはいけません。
今回の研究で明らかになったこと
今回の研究は、日本人成人を対象に、強化食品とサプリメントの利用実態と栄養摂取への影響を詳細に調査した、貴重な研究と言えます。
その結果、
●日本人では3人に1人が強化食品やサプリメントを利用している
●強化食品やサプリメントを利用する人は、普段の食生活でも栄養バランスを意識している傾向がある
●強化食品やサプリメントは、特定の栄養素の摂取不足改善に貢献する可能性がある
●一方で、サプリメントの過剰摂取には注意が必要である
ということが明らかになりました。
今後の展望
今回の研究は、比較的小規模な調査であったこと、また、対象者が特定の施設で働く人に偏っていたことなど、いくつかの限界点も指摘されています。
しかし、現代社会における栄養補給のあり方を考える上で、非常に興味深い結果が得られたと言えるでしょう。今後、より大規模で多様な集団を対象とした研究が期待されます。
私たちにできること
今回の研究結果を踏まえ、私たち一人ひとりが、強化食品やサプリメントとの付き合い方を改めて考える必要があると言えるでしょう。
栄養バランスの取れた食事を心がけつつ、不足しがちな栄養素を補うために、強化食品やサプリメントを賢く利用していくことが大切です。
PMID:39334410
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